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1969年の公開から50周年となる今年、シリーズ50作目「男はつらいよ お帰り 寅さん」が公開される。当時、車寅次郎のおい・満男の初恋の相手として出演し、本作で24年ぶりに俳優業復帰を果たした後藤久美子。シリーズの魅力、寅さんの存在を語った。
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──50年続いてきた寅さん映画の魅力を改めてお聞かせください。
ありとあらゆる感情を感じることができる映画です。切ないところもあれば悲しいところもある。うんと悔しい思いもしたり、でも愛にあふれる場面もあったり、優しさを感じたり、笑いがあって。人間の感じうるすべてのこの感情を引き出してくれる映画ではないでしょうか。
──寅さんとはどんな存在ですか。
それはそれは大きな背中で何者からも守ってくれる温かさを一瞬にして感じさせてくれる人です。こんなにも温かい人間って存在するんだ!というふうに感じるんです。
──シリーズ初期のころって寅さんの暴力性、テキヤのすごみがすごく描かれていました。あの細い目がキラッと光って。このまま死んでも構わないみたいな。ああいうのを見てると男は憧れるんだけど。
そうね。怖いもの知らずですよね。(相手を)優しくなだめることもできるし、厳しく暴力的に刃向かうこともできるし。
でもそのあとにはすぐ笑顔が戻る。それが渥美(清)さんなのか寅さんなのか、「のりしろ」がかなりあると思うんですけど。
──1人の俳優が演じた映画シリーズとしては最も長い作品としてギネス世界記録に認定されています。
一本の道をみんな共に歩いてきた、という感じでしょうか。端っこを歩いているのもいる。飛び出しそうになっている人がいると、誰かが戻してくれたりするのです。
──山田組のチームワークのすごさには改めて感服します。
試練に耐えてきた同志ですから。
──寅さんのセリフで好きなものを挙げてください。
(第42作「ぼくの伯父さん」で)満男のことを守るじゃないですか。恋人に会うためバイクに乗ってやってきた満男は悪いことをしたと思ってません、むしろ褒めてやりたい、と。よくぞ言ったという感じ。