一審判決のときは、各社が大々的に女性の勝訴を報道し、JBL社の言い分は報道されないに等しかった。一方で二審判決報道はトーンダウン。一審と二審の概略と両者の会見コメントが紹介されるにとどまった。

『紋切型社会』などの著作がある武田砂鉄さんはこう指摘する。

「記事に完全な両論併記はありえない。メディアも読者・視聴者も裁判を起こされた側に問題があると受け取ることが多い。とりわけハラスメントに注目が集まると、取材を受けてくれる人を象徴的な存在にしていく傾向が強まっている。裁判を経て会社がブラック企業大賞にまでノミネートされた影響は大きかったはず。高裁判決を受けメディアの責任として会社側にもきちんと取材するなど、継続的な報道が必要だ」

 メディアは逆転判決を重く受け止めるべきだろう。(小林美希)

週刊朝日  2019年12月20日号

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