マタハラ訴訟の舞台となったジャパンビジネスラボ(JBL)社 (撮影/大野洋介)
マタハラ訴訟の舞台となったジャパンビジネスラボ(JBL)社 (撮影/大野洋介)
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 有名なマタハラ裁判の控訴審で判決が逆転し、注目を浴びている。原告女性(38)は、育児休業取得後に正社員から契約社員になることを迫られ、1年で雇い止めになったことが「マタニティーハラスメント」に当たるとして4年前、勤務先の語学スクール運営会社のジャパンビジネスラボ(JBL)社を訴えていた。一審判決では雇い止めが無効とされ女性が勝訴した。

【画像】記者会見を行う女性

 ところが、二審・東京高等裁判所で11月28日、女性は逆転敗訴。JBL社にマタハラはなく、女性との間に雇用関係もないと判断された。注目を集めたのが、「原告がマスコミ関係者に事実と異なることを伝え、会社がマタハラ企業であるとの印象を与えようと企図した」という判決理由だ。遡ると、メディアは女性がJBL社在籍中からマタハラ被害者として報道していた。

「YOMIURI ONLINE」(2015年5月12日)では「まさに社を挙げてのマタハラ」と報じられた。日本テレビ系の「news zero」(同年6月24日)でも「保育園入園後に正社員復帰はできないと言われた」などと女性が匿名で語る模様が放送された。同年10月22日の提訴の記者会見では、「自主退職か、契約社員か迫られた」「子どもを産んだら人格を否定された」という女性の発言を主要メディアが報道。ところが、これら全てが二審判決で事実と異なると認定され、「記者会見の発言で会社の名誉を傷つけた」として女性に対して55万円の賠償を命じた。

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