大切な家族の一員のペットには、できることなら健康で元気に長生きしてもらいたい。飼い主なら誰もが願うことだろう。ライターで愛玩動物飼養管理士の中村千晶氏がご長寿猫さんを訪ね、その健康管理の秘密に迫る。
【前編/ご長寿猫は何が違う? 猫生“100歳”時代「健康管理」のコツ】より続く
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病気に対して医療の助けを借りる以外に、ご長寿さんの飼い主は日々の生活でどんなことを工夫しているのだろうか。
千葉県のナナさん(21歳、メス)は愛らしいコスプレ姿がインスタグラムで人気のご長寿さん。
「とっても穏やかな性格で被り物もまったく嫌がらず、そのままの格好でご飯を食べたり、歩きまわったりしています」
と、飼い主のrunananaさん(40代)は言う。10歳からキャットドック(猫の健康診断)を受け始め、12歳で糖尿病が見つかり、朝晩インスリン注射をしている。4年前に急性腎不全で入院、その後は落ち着いていたが2年前から慢性腎臓病治療薬「ラプロス」を服用中。現在は1日置きに自宅で皮下輸液をしながら、元気に暮らしている。
飼い主のrunananaさんが、ナナさんの健康管理に利用しているのがインスタグラム。日々の様子や、病院での処置を日付とともに記録しておくのに役立っている。「今日は病院に行ってきた。血糖値も腎臓の数値もまあまあだったにゃよ」「歯石をとってもらったにゃ」など、気づいたことをインスタグラムに書き込んでおけば、振り返りもでき、意識づけにもなる。
そしてやはり、毎日の食事は健康長寿に重要だ。
「腎不全用の療法食を中心に、ウェットフードを多めに与えています」
と話すのは、東京都のルルくん(17歳、オス)の飼い主で猫雑誌の編集者、ペット栄養管理士の資格を持つ奥田直樹さん(41)。ルルくんの経験も踏まえて、ペット栄養管理士である奥田さんに、「猫の食事で気を付けるべきポイント」を四つ挙げてもらった。
(1)フードローテーション
数種類のフードを一定のサイクルで順番に与えることだ。
「ひとつにはリスクの分散です。人間と同様、猫の食事にも絶対に安全なゼロリスクのものはない。万が一、そのフードに問題が起こっても、数種類を食べていれば被害を軽減できる。それに食事にバラエティーを出したほうが、猫にとっても刺激的です」