「祝賀御列の儀」で沿道の人たちに手を振る皇后さま=2019年11月10日午後3時10分、東京都千代田区、福留庸友撮影 (c)朝日新聞社
「祝賀御列の儀」で沿道の人たちに手を振る皇后さま=2019年11月10日午後3時10分、東京都千代田区、福留庸友撮影 (c)朝日新聞社
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 祝賀パレード「祝賀御列の儀」には、11万7千人が沿道に集まり令和の新天皇と皇后を祝福した。ティアラとローブデコルテが放つ輝きの素晴らしさと同じくらい、見る人の胸を打ったのは雅子さまが見せた感激の涙だろう。自然体で相手に向き合う姿は、親しみを持って迎えられた。

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 澄み渡る青空のもと、新天皇皇后を乗せたオープンカーは皇居を出発した。

 沿道に集まった11万7千人が振る日の丸の手旗は、波がうねるような迫力を演出した。日本中が、「徳仁天皇」「雅子皇后」の時代を心から祝福し、喜びを全身で表現していた。

「令和の皇室は国民に受け入れられたーー」

 昨夜の国民祭典に続き、この日のパレードで、雅子さまは、それを実感したのかもしれない。パレードの車両が進むなか、幾度も涙を浮かべた光景は、最初の涙は、オープンカーが内堀通の祝田橋をぬけて桜田門に進む車の上で一瞬、雅子さまがこらえるような表情を見せたが、目には涙がにじんでいた。

 車列は国会正門前に向かって時速10キロのゆっくりとしたスピードで進み、祝福の歓声が東京の街に響き渡った。

天皇陛下 おめでとうございます」「皇后さまー」「雅子さまー」

 雅子さまは白い手袋で、そっと目がしらをおさえ、憲法記念館から旧永田町小学校に差しかかると、感極まったように、再び涙をにじませた。

 赤坂見附の高架下に進むと車列は、柱のかげに見え隠れする。おふたりとも微笑みながら見つめ合い、ひと言ふた言交わしていた。陛下の言葉にほっとしたのかもしれない。雅子さまはふいにうつむき、両方の目がしらにハンカチをあてた。陛下は、すぐに雅子さまの様子に気づいた。「大丈夫ですか」とでもいうように、優しく声をかける場面も見られた。

「祝典でロイヤルメンバーが涙を見せるのは珍しい」

 そんな印象を抱いたのは、世界の王室事情に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんだ。多賀さんは、英国の公式誕生日のパレードなどを現地で取材したが、涙を見ることはなかった。

 逆に、英国の王室メンバーが涙を見せる場面として印象深いのは戦没者の追悼式典だ。2018年にオーストラリアで行われた式典ではヘンリー王子が、今年11月10日のロンドンでのリメンバランス・サンデーではエリザベス英女王が、それぞれ涙を流し犠牲者の魂に祈りを捧げている。

 多賀さんは今回の雅子さまの涙には、好感を持っているという。

「国民の祝福に感激して、にじんだ涙にそっと手をあてる雅子さまの姿は、自然体で温かな人柄を感じさせるものでした。さらに、その雅子さまの様子を常に気遣う、天皇陛下の夫としての存在感が印象的でした。自然体で国民に接する令和の新天皇と皇后に、国民は親しみを感じ、さらに人気が出ると思います」

(本誌・永井貴子)

※週刊朝日オンライン限定記事