「そこで分かったのは、高齢者には、警備、タクシー、管理人の仕事しかない現実でした。それなら次の転職は早い方がいい、と」
1年でハローワークの契約更新を断り、3職種の中から「自分もできる」と思える管理人職に応募し、昨春採用された。雇用先は大手ディベロッパーで、時給1000円。
「オレはもっと“できる”人間なのに」とつらくなることはないかと問うと、「ないないない」と全否定された。「久々に会う友人に、尋ねられる前に自分から『管理人をしている』と話す」と言う。
「あえて『オレはそういう仕事無理だわ』と言うヤツほど興味を示しますがね」
(ノンフィクション・ライター 井上理津子)
※週刊朝日 2019年11月8日号