


天皇陛下が即位を内外に宣言する「即位礼正殿(せいでん)の儀」が無事終わり、その日(22日)の夜、世界各国の賓客を招いた祝宴「饗宴の儀」が皇居で開かれた。パレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」は延期となり天候も不安定だったが、皇居の半蔵門の前には、通り過ぎる雅子さまたちをひと目見ようと、約200人が訪れた。
「きょう初めて、天皇、皇后両陛下が2人並んでいるお姿を、もうすぐ見ることができます」
午後7時前、テレビ局のリポーターがカメラに向かい、興奮気味に話していた。
少し前には、常陸宮妃華子さまを乗せた車が皇居に入り、次の車には、秋篠宮家の長女、眞子さまと次女の佳子さまの姿があった。身を乗り出すようにして明るく手を振っていた佳子さまとは対照的に、眞子さまはほほえみながらも、前をすっと見て、どこかアンニュイな雰囲気のようにも見えた。
秋篠宮さまと紀子さまの車も通り過ぎ、集まった人たちからは、「次は両陛下?」といった声が上がり始め、ざわつき始めた。
すると、皇居の警備担当の警察官が報道陣の前で、こんなアナウンスを始めた。
「陛下は午後7時ごろ、お通りになります。セダンの次の2台目のセンチュリーに乗っておられます。左側が皇后さまで、奥側が天皇陛下です。ゆっくりお通りになりますので、カメラのフラッシュはたかないようにお願いします」
皇居の警備担当というと厳しいイメージがあったが、意外にも親切な説明だった。
しかし、辺りは暗く、フラッシュなしでの撮影は厳しい。なぜ、フラッシュはダメなんだろう? 近くにいた、雅子さまの「追っかけ」をしているという女性に聞いてみると、雅子さまが病気になった16年ほど前から、フラッシュの光は精神的に良くないとして、ルールになったという。
そうこうしているうちに皇居の門がガラガラと開いた。
「(赤坂御所を)ご出発になりました。あと、10分少々でお見えになります」
と警備担当者。いよいよ、やって来られるようだ。