そう言ってから、「授業はぼーっとしててもなんとかなるけど、スケボーだとそうはいかないから」と言って笑わせた。俳優になる前、スノーボード選手として、中学生ながら数多くの大会で入賞していた彼は、今も趣味としてボードを使ったスポーツを続けている。
ニューヨークでの1週間のスケジュールについては、「英語を学んでいる以外は、昼寝をするかスケボーするか、ですね」とこれまた本気とも冗談ともつかない回答をする。日本にいた頃は、舞台にも挑戦していたが、ブロードウェーのミュージカルを観に行ったりはしないのだろうか?
「チケットが高いんですよ。僕の場合、今はかなりの節約生活なので、贅沢はできないんです。ブロードウェーのお芝居1回で、普段の食事7回分になっちゃう(笑)。その代わりというわけでもないですが、美術館にはなるべく行くようにしています。現地に住むアーティストの友達から薦められた、小さなギャラリーに足を運んでみたりとか」
デビュー当時から、役や予算の大小に関わらず、興味ある作品には何でも挑戦してきた彼が、「さすがに最短の撮影時間だったかもしれない」と語るのが、人気ラッパーのANARCHYさんが初監督した映画「WALKING MAN」だ。極貧の家庭に生まれ、幼い頃から人前で話すことが苦手だった青年が、ラップと出会うことで最底辺の生活から抜け出すべく奮闘していく青春物語。撮影日数はわずか10日だった。
「以前から監督とは交流があったんです。『こういう映画を作ろうと思っているんだ』と、最初に構想を聞いてすぐ、『やりますよ!』と答えました。そこから台本を読ませてもらったら、ストーリーがスラスラ頭の中に入ってくるし、最後は泣けたし、『面白い』『これはやるべきだ』って思った」
そうして一呼吸してから、もしかしたら彼が留学を決意する後押しになった感情についても触れた。
「正直なことを言うと、日本だと、自分が求められる役が、どうしても似た感じのものになってしまうことが多くて……。ここ1~2年は、学園ものも恋愛ものも、もうやるだけやったかな、という気分になっていたんです。だから今回のような役をいただけたことは、すごく有り難かった」