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ギタリストのCharが楽器の名門ブランド、フェンダーと提携して新型マスタングのシグネイチャーモデル「Char MUSTANG」を開発した。そもそもマスタングは、Charが10代から愛用しているモデルだ。
「実物のマスタングを始めて見たのは8歳のころ。銀座の山野楽器でした。あのころの僕は、銀座通りを新橋方面から日本橋方面へ向かって楽器屋さんをのぞくのが最大の楽しみの1つでね。まずヤマハ銀座店があって、アンクルという小さいけれど外国製の珍しい楽器を置いている店があって、銀座4丁目の交差点を渡ると山野楽器、そして銀座十字屋……。マスタングは山野のショーウインドウに飾られていました。メタリックブルーにブルーのラインがきれいでね。これがフェンダーかあー、と眺めていました。まだフェンダー・ジャパンがない1ドル360円時代ですから、ものすごく貴重なギターです。憧れました」
高校時代にプロになったCharがレコーディングのギャラを貯めて最初に手に入れたフェンダーのギターは、ストラトキャスターだった。テレキャスターとともに、フェンダー社の代表的なモデルだ。しかし、買って1年ほどで盗まれてしまう。19歳のときだった。
「ものすごいショックでした。落ち込んでいると、外国人の友だちから、広尾のガレージセールでフェンダーのギターがたった6000円で売りに出ているという情報が入った。帰国する金持ちのアメリカ人が家財を処分していたんです。そのギターがマスタングでした。すぐに訪ねて、譲ってもらいました」
それから40年以上、Charはマスタングを弾き続けている。今では、Charの代名詞ともいえる、ギタリストとしてのキャリアを通しての“相棒”だ。
「マスタングはフェンダーのスチューデントモデル。子どもでも扱えるように、ショートスケールでつくられています。だから、体のでかいアメリカ人やイギリス人よりも日本人が持つほうが、見た目がいいんです。ただし、ストラトキャスターやテレキャスターと比べると、つくりがあいまいというか、扱いが難しいギターではあります」