「日本の経済は世界でもダントツのビリ成長。やはり成長する国の資産を買っていかなければなりません」
9月7日に都内であった個人投資家向けのイベント「みんなのお金フォーラム2019」で、“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史さんはこう訴えた。
数百人の聴衆を前に講演した藤巻さんは、日本という国は安全だし自然も豊かで大好きだとしつつ、海外への投資が「リスクヘッジ」になると強調した。
「個別にどの株が上がるのかではなく、日本の経済がどうなるかを考えて投資しないといけない。全体的に強い国の資産を買うのが原則。自分の財産を海外に移すことは一種の保険です」
こう訴える背景には日本の財政悪化がある。国債や借入金などを合計した国の借金は1105兆円に達し、過去最高を更新し続けている。藤巻さんは早くから日本の財政危機を唱えており、ネット上の一部からは“オオカミ少年”と呼ばれるほど。そう言われても気にならないのは、もはや通常のやり方では借金は返せないという確信があるからだ。
「これだけ借金がたまると尋常な方法では返せない。景気が良くなれば税収も上がると言われるが、国の税収が過去最高になっても60兆円ほど。これから大増税して税収を大幅に増やすのは難しい。できるのは『インフレ税』。インフレは借金をしている人にはラッキーだが、銀行にお金をためている人にはつらい。日本最大の“借金王”は国なので、国民から国へと富が移る。これだけの借金を返すには、ハイパーインフレしかないのです」
今の日本は超低金利で財政危機とはほど遠いと言われるが、それは日本銀行がおきて破りの異次元の金融緩和をやっているおかげだと指摘する。
「日銀は国債を買い支え事実上の『財政ファイナンス』をしています。形式上は銀行や保険会社などが国債をいったん買っていますが、すぐに日銀が買ってしまう。世界中で禁止されている行為を日銀は実質的にやってしまった。かつて証券会社が損失を“飛ばし”たように、日銀も損失を先送りしているようなものです。将来、金利が上がれば国債の価値が下落して、日銀は債務超過になってしまう。日本経済がクラッシュし、円が暴落するかもしれないのです」
もちろん将来のことを完全に予想することはできない。足元では世界的な金利引き下げ競争もあって円高傾向で、円の暴落はイメージしにくい。それでも、藤巻さんは外貨資産の重要性を強調する。