反社会的勢力が関わる“闇営業”問題で混迷が続いていた吉本興業。ダウンタウンの松本人志や、明石家さんまが8月11日までに事実上の“終息宣言”をして、ひとまず落ち着いたかのように見える。だが、反社会的勢力の排除や芸人の待遇改善などの具体策はこれから。吉本に依存するテレビ局のあり方やタレントを“干す”問題など、芸能界全体にまたがる課題は残されたままだ。
吉本は経営改革について専門家から助言してもらう「経営アドバイザリー委員会」を8月8日に開催。会社側は約6千人いる全ての所属芸人について、反社会的勢力と関わらないことを約束する「共同確認書」を交わす方針を示した。
吉本は謹慎処分にしていたレイザーラモンHGやガリットチュウの福島善成、スリムクラブや2700ら所属芸人11人の処分を、8月19日付で解くと9日に発表。同社運営の劇場で、順次仕事に復帰させる。
こうした吉本の対応などを受けて、松本は11日のフジテレビ系「ワイドナショー」で、一件落着とは思っていないとしつつも、こう述べた。
「一時の最悪の状況からはちょっと脱出できた。浜田よりは頑張りました」
明石家さんまもMBSラジオ「ヤングタウン土曜日」で、10日に今回の問題についてこう語っていた。
「ようやくラジオでもしゃべらんで言いようになってきた」
さんまは同じ番組で、動向が注目される雨上がり決死隊の宮迫博之についてもこう明かした。
「本決まりではないが、宮迫はウチにくるんじゃないかと。預かることになりそうなんですけど」
さんまは吉本に所属してはいるが、トップスターゆえに個人事務所を持つことが許されている。宮迫は振り込め詐欺グループの宴会に出て現金をもらっていたのにうそをついて、闇営業問題を深刻化させた張本人。会社側も復帰に疑問を示していたが、さんまのもとで再起を目指すことになりそうだ。
経営陣を一時批判した極楽とんぼの加藤浩次や、ロンドンブーツ1号2号の田村淳も、吉本残留をすでに宣言している。誰も吉本を辞めずに問題がひと山越えそうなことで、松本とさんまの大物2人もほっとしたようだ。
さて、今回の問題は本当にこのまま終息するのか。宮迫とロンドンブーツ1号2号の田村亮の号泣会見や、岡本昭彦社長のグダグダ会見は、多くのファンを驚かせた。会見では会社側の情報隠しとも言える行為や、社長のパワハラ発言なども発覚。このままうやむやに終わるなら、ファンからすると芸人と経営トップによる“茶番劇”を見せられていたような気分になりかねない。
吉本は経営改革をアピールすることで信頼を回復したいようだが、実現には課題が山積みだ。