岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
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撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
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 動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、京都府・祇園の「宵の口だ猫(にゃん)」です。

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 老舗の料亭の縁側で、若女将さんと子どもたちと猫が、線香花火を楽しんでいた。

 とはいえ、パチパチと弾ける火花に、ちょっと逃げ腰の白サバ猫。「私の隣にいれば大丈夫」とお姉ちゃんが抱き寄せた。

 もう一匹の三毛猫は我関せず、と離れ涼んでいる。その耳は隣家のお茶屋さんから流れてきた三味線の音(ね)の方を向いている。花街(かがい)の夜を告げる音(おと)。

 まだまだ宵の口。猫たちは華やかな祇園へパトロールに繰り出す前のひととき、大好きな家族と夏の夜を過ごす。

週刊朝日  2019年8月16日‐23日合併号

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