あいちトリエンナーレは名古屋市と豊田市を会場にし、8月1日から始まった。3年に1度開催され、4回目の今回は津田氏が「情の時代」をテーマに掲げ、国内外の90組以上のアーティストが参加している。総事業費は約12億円で、愛知県が6億円、名古屋市が2億円を負担。国からも約7800万円の補助金が支出される予定だ。1コーナーである企画展「表現の不自由展・その後」では、昭和天皇の写真などをコラージュしているものや憲法9条をテーマにした俳句など、過去に美術館から撤去された作品を展示していた。

 津田氏はツイッターで、「表現の不自由展・その後」のコーナーの予算は420万円で、民間の方から寄付の申し入れがあり、寄付で全額まかなうことにしたと説明している。

 少女像については河村市長のほかに、日本維新の会代表の松井一郎大阪市長らが強く非難。菅義偉官房長官も、「補助金交付の決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と語り、補助金の交付中止の可能性を示唆した。

 相次ぐ政治家の介入に対し、社会学者の大内裕和・中京大学教授はこう指摘する。

「河村市長の発言は、日本国憲法における表現の自由や、検閲の禁止を理解していません。しかも、自らの発言で脅迫などを助長する事態にもなりました。企画展の主催者側に謝罪を求めているようですが、お門違いも甚だしい。非難されるべきは脅迫した側であって、それをあおった形の河村市長こそ謝罪すべきです」

 河村市長が展示内容について「国のお金も入っているのに国の主張と明らかに違う」などと語ったことに対し、大内氏はこう訴える。

「政権に反対する言論や表現も保障するのが、表現の自由です。こんな初歩的なことを言わなければならないのは、本当に嘆かわしい限りです。政権に反対している人たちも税金を払っているのですから、政府の主張に沿ったものしか許さないという言い分が理解されるわけがありません。公的資金を投入しているから規制をかけていいんだというのは、憲法に対する無理解を露呈しています」

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問題の背景に「政治的意図」との指摘も