悔しいのでいつものようにノートを開き『ホワイト』にまつわる単語を書き出すことに。いきなり「ホワイト餃……」まで書いてしまった。一旦離れよう。『白』でもいいよね。「白アリ」……よりによってファーストワードが「白アリ」か。「白髪」「白目」「白身」「白帯」「白装束」「白滝」「白岡」……どうも淋しげで地味な単語ばかり浮かんでしまう。『白岡』は埼玉県東部にある地味……否、控えめな町。
そういえば昔、先輩の紹介で白岡の農家の庭(!)で落語やったな。12月の白色の曇天の下、ゴザの上で日本酒を飲んでいる50人。白鶴。盛り上がってるところに私の落語。座が白け、まるでウケず目の前が真っ白。終了後は芋煮会。顔面蒼白の私を温めてくれたのが白味噌だしに浮かぶ白い里芋、豚肉の白い脂身。白い皿に盛られたほうれん草の白ゴマ和えが旨い。白い息を吐きながらビールの白い泡をグイと飲み干すとさっきまでの嫌な記憶も真っ白に消去された。さあ帰ろうかと立ち上がると、白髪頭の主催者が「ビンゴ大会の司会をお願い!」と白い歯を見せて笑う。ビンゴマシンの中にたくさんの白玉。無事ビンゴが終わるとチラチラと白雪が舞い降りてきた。「これお土産。うちで獲れたコシヒカリ」と10キロの白米を背負わされ白目をむきながら白岡駅めざしひた歩く……。先輩からの仕事だが、我々みなフリーなので決して闇営業ではないのだ! 『ホワイト芸人』ここにあり。どうだ、つながったぞ週刊朝日。気になる『ホワイト餃子』については各自検索してみてください。美味しいよ! 皮がモチモチでね、小ぶりで……あ、字数足りない。
※週刊朝日 2019年8月2日号