シニア起業家には、この両方の姿勢が参考になると、松延さんは指摘する。
「起業に成功体験は必要ありません。何もないところから始めた若者の謙虚な姿勢を見習ってほしい。シニア起業家には始めたからには成功しなきゃという『一発志向』が多いが、それこそが失敗の原因になってしまいます。地道な姿勢を重視してほしいですね」
ところで、本の前半は起業成功物語だが、後半は一転、オープン時の好調さに慢心した池田さんが店をサボって傾かせ、それを立て直す「再生物語」になる。
その過程で気づくのは、「決まった時間に店を開ける」ことなど、リアルの世界で重視される「商売の原則」の大切さだった。
松延さんがしみじみ言う。
「この若さでネットとリアルの両立を学んでしまった。人生100年を考えると、将来が楽しみですね」
(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2019年7月26日号