医大の差別入試や、司法の性暴力無罪判決など、女として黙っていられないことが続いている。黙っていたらなかったことにされる。だから声をあげる。それはフェミニストたちから学ぶ歴史的事実だ。とはいえ私は、闘い方が長年わからなかった。女性にセックストーイをお気軽にお届けする。それが私の闘いなのよ、くらいでいいと思っていた。
それでも先日、気がついたのだ。20代だった私がなぜバイブを売り始めたのかといえば、女性が主体的に、自由に、尊厳を持ち性を楽しめる社会がほしかったからだ。だけど、社会は変わったか。私が求めた全て、自由、主体、尊厳を奪っているのが、性暴力で、性差別社会ではないか。40代の私は20代の私に謝るように過去を眺めた。
「性暴力に抗議し、花を持って集まろう!」と4月11日に呼びかけたフラワーデモは、6月11日に3回目を迎え、全国10カ所で同時に開催された。#MeTooとあげた声が潰されないように、あなたと共にある#WithYouという思いを花に託す人々が広がりつつあるのを実感する。たくさんの巨人が街に出れば、きっと変えられるはずだ。
柔らかなモノサシを持ちながら、巨人になって街に出る。やはり変えたいと強く思う。スカートを美しくはためかせ、気高く生きる自由を信じたいから。
※週刊朝日 2019年6月28日号