食品スーパー大手ライフコーポレーションは、原則、毎月1、15日に「シニアワンデーパス」を示すことで5%割引。対象者は65歳以上で、「この日を狙って来店してくれるお客様は多い」(広報担当者)。

「小売店の優遇サービスは、顧客が比較的少ない日に利用できるものが多い。高齢者は時間に余裕があるので、混雑を避けてお得に買い物できるメリットもあります」(前出の畠中さん)

 ドラッグストアでもポイント還元などを受けられる。ツルハドラッグなど、多くの全国チェーンでシニア向けのサービスがある。ドラッグストアでは薬だけでなく食品や日用品も充実している。複数のポイントカードを使い分けることで、賢く買い物をしよう。

「ポイントサービスはいくつもあります。年金暮らしになれば使えるお金は減る。自分が普段買っているモノや、利用しているサービスで使えるポイントを、意識的にためましょう」(同)

 老後マネーの相談を受けてきたファイナンシャルプランナーの深野康彦さんは、割引サービスの重要性を訴える。

「いまはお金を銀行に預けていても、利息は年0.01%ぐらい。100万円預けても100円ぐらいしかもらえない計算です。そう考えると、1回の買い物で100円安くなっただけでもずいぶん得した気分になれます」

 家計調査によれば、高齢夫婦無職世帯の食費は平均で月6万4444円、消費支出全体の3割近くを占める。仮にすべて5%割引を受けられたとしたら、月3千円以上は食費を削れる。

 飲食店でも高齢者を呼び込もうとさまざまなサービスがある。

 おもしろいのは、ステーキチェーン「いきなり!ステーキ」だ。70歳以上限定のシニアカードは、アルコールを含む飲み物がどれでも1杯無料。チャージに応じてたまるポイントが常時3倍になったり、行列時に優先的に入店できたりする。

 ほかにも焼き肉チェーン「牛角」の食べ放題が500円オフになるなど、いろんなサービスがある。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2019年6月21日号より抜粋

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