身体が衰えるように、感情も老化する──。ウォーキングなど健康管理にいそしみ、認知症予防に脳トレに励む人は多いが、“感情年齢”は意外と盲点。感情が老いると、頑固になり、アイデアが湧かなくなり、やる気も低下する。ひいては人生が面白くなくなる。感情のアンチエイジング法を知って、100歳人生時代を生き抜こう。
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最近なんだかやる気が出ない、急に泣いてしまう、怒りっぽくなった、うまく気分転換ができない、何に対しても感動しなくなった……。40代以降で、こんな自覚がある人は要注意だ。感情が老化し始めているからかもしれない。
寿命が延びるとともに、加齢に伴う脳機能の低下を心配して脳トレなどに取り組む人は増えたが、精神科医の和田秀樹さんは、「それよりも先に、感情の老化に目を向けることが大切」だと言う。和田さんは著書『「感情の老化」を防ぐ本』(朝日新聞出版刊)で、その原因を探り、早めの予防を心がけるよう提案している。意外にも、それは40代と早い時期から始まっているという。
「感情の老化を放置すると、ワクワクしにくくなり、やる気そのものがうせてしまい、老化はさらに加速します」(和田さん)
まず、「感情老化」度テストを試してみよう。計算式に当てはめれば、自分の「感情年齢」がわかる。自分の「感情年齢」が実年齢よりも高いと思う人は、生活習慣や考え方を少し変えてみることをおすすめする。どんな意識をもってどう過ごすかによって感情年齢は変わり、見た目や精神年齢の若々しさにも影響するからだ。
感情の老化を防ぐポイントやこつを紹介する前に、感情の老化の“正体”について知っておこう。まず、感情年齢に密接に関係しているのが脳の前方に位置する前頭葉という部位。前頭葉は、意欲や感情のコントロール、創造性などをつかさどっており、加齢によって萎縮すると「面倒くさい」「どうでもいい」といったやる気のない発言が増えたり、自分の考えに固執するなど柔軟性が失われたりする。
加えて、男性ホルモンの「テストステロン」の減少も深く関係している。男性ホルモンは、好奇心や意欲が旺盛になる、人との付き合いがよくなるといった特性があり、その減少が意欲を減退させる要因の一つになるのだ。