昨年、没後100年を迎えたが、今もなお、黄金色の輝きを放つグスタフ・クリムトの作品。4月23日から、傑作揃いの展覧会が開催される。
* * *
19世紀末のウィーンを代表する巨匠、グスタフ・クリムト。金箔やガラスなどの素材を多用し、日本の浮世絵や琳派からも影響を受けたとされ、次世代の画家たちに多大な影響を与えた。
4月23日から東京都美術館で開催される「クリムト展 ウィーンと日本 1900」は、過去最多の油彩画25点以上が一堂に会する大規模展とあって、大きな注目を集めている。
生涯独身を貫き、恋多き画家としても知られるクリムトは、女性像を得意とし、その情感を豊かに描き出した。
「クリムトは、その奔放な女性関係もあって、女性の心理と生理を知り尽くしています。それが彼の芸術に創造的に働きかけたことは確かでしょう」
本展覧会の監修を務める、美術評論家の千足伸行さんはそう語る。彼の描く女性たちは没後100年を経た今も、強烈な個性を放っている。
「魔性の女、夢見る少女、若い母親、社交界の花形セレブなど、クリムトが描く女性は幅広く、決してワンパターンではない。シックで洗練されたファッションセンスや、華やかな色彩が醸し出す装飾的な美しさが、人々の心を惹きつけているのでしょう」(千足さん)
「クリムト展 ウィーンと日本 1900」4月23日(火)~7月10日(水)東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)/7月23日(火)~10月14日(月)豊田市美術館(愛知)
(文・構成/吉川明子)
※週刊朝日 2019年4月26日号