

看板学科の評価が大学のブランド力を示す時代となった。大学の顔である「至高の学科」を訪ねる。今回は佛教大学・歴史学科。
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関西の私立大学グループで異変が起こっている。「これまで中堅私大グループとして『産近甲龍』(京都産業大・近畿大・甲南大・龍谷大)と呼ばれてきたが、最近は京都を中心に『産近佛龍』として人気を集めています」(大学通信の安田賢治常務)
「佛」とは佛教大(京都市)のこと。設立は1949年。新学部・学科を設置し、キャンパスを整備するなど改革に取り組んでいる。中でもいま新たに“佛大の顔”になりつつあるのが、歴史学部歴史学科だ。
歴史学部は2010年4月に新設された。古都の大学らしく、「歴史」を冠した学部として注目を集めた。学科は歴史学科と歴史文化学科の二つ。歴史文化学科では遺跡や伝統行事、民話などを扱うのに対して、歴史学科では文献史料を扱う。河合塾によると、歴史学科の偏差値は55(一般入試、A日程)で、学内で最も高い学科の一つになっている。
入学してくる学生は、いわゆる“歴史オタク”が多い。小説やドラマ、漫画などを通じて、歴史好きになる子供は多い。高校で歴史の科目を得意とする子が多く入学してくる。しかし、貝英幸学部長は「高校までの歴史と、大学からの歴史は違う。学術的な歴史オタクを目指してもらう」という。
高校までに知る歴史は一面的なものでしかない。歴史学科では、古文書など史料を読み解き、解釈を行い、論理的に考えを進めていく。研究対象が尊敬する歴史上の人物だとしても、ネガティブな情報を含めて分析するのが、学術的なオタクに求められる基本的な姿勢だ。
「教科書などで知った知識を改めて問い直すことから歴史学は始まる。授業を受けると、ショックを受ける学生も少なくない。研究テーマを選ぶ際には好きな人物を対象にしないほうがいいとアドバイスしています」と貝学部長はほほえみながら語る。