県外からも多くの渋沢ファンが深谷に訪れるという (c)朝日新聞社
県外からも多くの渋沢ファンが深谷に訪れるという (c)朝日新聞社

 今年は「埼玉の年」になるのだろうか。2024年度上期をめどにデザインが変わる紙幣の新1万円札の「顔」に、「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一が選ばれた。映画「翔んで埼玉」のヒットほどの派手さはないが、渋沢の出身地、埼玉県深谷市では、じわじわと渋沢フィーバーが起きている。

「銀行や製紙会社などをつくった人なのに、なぜ紙幣にならないんだと思っていた」と話すのは、市民グループ「青淵会」の宮川友安代表。

 実は15年も前から「渋沢栄一を紙幣に」と活動してきた。渋沢の肖像画が入ったオリジナル10万円札を作り、これまで約1万5千枚を地道に配ってきた。思いが通じ、見事、一番高いお札のデザインに渋沢が選ばれた。宮川さんはうれしそうにこう語る。「日本の産業の原点を振り返ってみたときに、やはり渋沢栄一が出てくるのでしょう」

 はんこ、缶バッジ、ランチバッグ、お札風デザインのミニタオル……。渋沢のイラストをデザインしたグッズの生産に追われるのは、市内のはんこ屋「川本山陽堂」だ。新元号への対応で本業が忙しいなか、突如わいた「渋沢ブーム」。同店の川本徹郎さんは「ありがたいこと」と感謝しきりだ。

次のページ