“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、日銀が国債を「爆買い」することによって将来の景気動向がわかりにくくなっていると話す。
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先週号でToday is not Sunday(東大は駿台にあらず)ということわざ(?)を載せたが、Today is Monday(東大は問題だ)、Today is 何day(東大なんて、なんでぇー)というものもあるらしい。東大コンプレックスの私にとって耳に心地よいことわざだ(笑)。
ちなみにTodayはぜひオーストラリアなまり(トゥダーイ)で読んでいただきたい。
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3月22日、米国債10年物の金利が3カ月物を下回る長短金利の逆転現象「逆イールド」が起きた。国債は一定期間持っていると、金利分を付けて国がお金を支払って(償還して)くれる。通常は10年物(長期)の方が3カ月物(短期)より金利が高いが、約12年ぶりに逆転したのだ。
それを受けてニューヨーク株式市場は大慌て。主な株式指標であるNYダウは460ドルも急落、避難通貨とされる(私は不承知だが)円が買われ、円高ドル安になった。株安と円高の二重パンチを食らった日経平均株価は、3月25日に一時、前営業日より700円を超える大幅な値下がりに。
NY株式市場が大慌てしたのは、「債券市場が将来の景気の悪化を予想している」と理解したからだ。
米国の金融政策を担うFRB(米連邦準備制度理事会)が、金融を引き締めるスピードを抑えて景気の下支えをすると発表したとたん、逆に将来の景気悪化を織り込んでいくのだから市場は“魔物”だ。
しかし、株価急落を引き起こした今回の逆イールドは、本当に将来の景気の悪化を見込んでいるのか私は疑問に思う。
長期国債と短期国債の金利の関係から将来の景気動向を読み取れるのは、すべての市場参加者が市場原理(損得を行動基準に取引する)にのっとって行動している時だけだ。