久保建英選手 (c)朝日新聞社
久保建英選手 (c)朝日新聞社

 17歳の逸材がいよいよ輝きを見せ始めている。JリーグのFC東京に所属する久保建英が、今シーズン、チームの攻撃の中心として活躍している。また、東京オリンピック代表にあたる、Uー22(22歳以下)の日本代表にも選ばれ、3月24日にミャンマーで行われたU-23東ティモール代表戦では、直接フリーキックを決め、さらに絶妙なボールコントロールから左足で豪快なボレーシュートを決めた。Jリーグで試合に出始めて数シーズン経つが、これまで大きなインパクトを見せたとは言えなかった。今シーズン、なぜ久保は才能を発揮し始めたのだろうか。

 スペインの名門バルセロナに10歳でスカウトされ、下部組織で鍛えられた久保は、2015年に18歳未満の選手登録の問題で日本に帰国し、FC東京の下部組織に加わった。左利き、攻撃的なポジション、バルセロナ所属ということもあって、当時から“日本のメッシ”とマスコミはこぞって久保を取り上げてきた。

 17年11月に16歳でFC東京とプロ契約したが、なかなかトップチームで出場機会を得られず、期待通りの活躍とまではいかなかった。しかし、今シーズンの久保は、リーグ戦でまだ得点こそないものの、鋭いドリブルや強烈なキックで存在感を見せている。FC東京の攻撃の中心になっている。サッカーライターの六川亨さんは、久保の活躍の要因をこう見る。

「フィジカルの成長が目覚ましい。既に技術はありますが、J1レベルとなると相手は体をぶつけて潰しにきます。久保選手は今までひ弱なところがありました。今は相手の当たりにも強くなったし、スピードも速くなりました。彼のドリブルが速くなっているので相手も追いつけなくなっています。体はまだ成長途上ですが、フィジカルが強くなったことで、弱点といわれた守備も強くなりました」

 ドリブルやキック、そして久保の持つ“サッカー脳”についても評価する。

「久保選手の最大の武器は相手をはがせるドリブルとシュートの上手さ。やっぱりメッシに似ています。J1の開幕戦で、決まりはしませんでしたが、バーを直撃したフリーキックが素晴らしかった。筋力がついたこともあってか、キーパーが動けないスピードだった。また、久保選手は頭が良い。周りも見えているし、状況に応じた判断もできる。例えば、先日の東ティモール戦で決めたボレーシュートも、その直前のボールコントロールは、グラウンドコンディションが悪いからと敢えてボールを浮かしていました」(六川さん)

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18歳になったらFCバルセロナに戻る?