テレビでは新聞記事程度の報告をニュースでさらっと流すか、視点を斜めに持ってくるか。ワイドショーは、次の人事がどうなるかという構成で番組を組み立てるかも。アスリートの元スターを出し、次の長となる人を、「この人、良い人」。そういったすり替え作戦でいく?

 しかし、そうやって取り繕っても、フランスの煙を消すことは簡単じゃない。

 だとしたら、この国でも事実を追及し、それなりの報道をしておいたほうがいいんじゃね?

 東京五輪で使われる金は税金。責任のお鉢をまわされるのは、国民。失敗したとき、我々にどんな言い訳をする? この件は海外が絡んでいる以上、森友・加計のようにできない。報道の自由度ランキングが独裁国家並みに評価されても気にしない?

 2020年以降、この国の新聞もテレビもなくなるわけじゃないでしょう?

週刊朝日  2019年4月5日号

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら