経済紙「ヴェドモスチ」によれば、報道関係者の間でも、政府に批判的な報道に「圧力を加えるための道具」として利用されることへの警戒が高まっている。検察当局が情報の真偽を恣意的に判断したり、匿名の情報筋から得た情報が制限されたりするなどの恐れがあるためだ。

 ロシア政府は近年、テロ対策やサイバー防衛、治安維持などを理由に、急速にネットやメディアへの規制を強化しており、この二つの法案もまさにその流れに沿ったものだ。

 ロシア政府は64名の死者を出した昨年3月の商業施設火災をめぐるデマの拡散を立法の理由としてあげている。

 だが、過去に同様の法律を導入したエジプトやマレーシアのように、反体制派の活動を封じ、情報統制を強化したいという思惑があることは疑いがない。

 フェイクニュースを利用して米仏大統領選挙に介入したと批判されているロシアのやり方を見て、アジアの権威主義国たちはネット規制を強化していった。これまでは外に向けられてきた世論工作が、ついに国内向けにも本格化するということなのかもしれない。

週刊朝日  2019年3月29日号

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