保険料は前年の収入額で決まるため、65歳以降の収入が下がる場合、国民健康保険の方が安くなる傾向がある。任意継続は2年間続ける必要があるが、保険料の払い忘れで加入資格を失えば、国民健康保険に加入することになる。

 新しい仕事が決まれば確認しておきたいのが、雇用保険の加入状況だ。

「16年までは65歳未満しか加入できませんでしたが、17年から65歳以上にも対象が拡大されました。小規模な企業などは加入手続きを忘れているケースもあり、念のため確認しましょう」(同)

 雇用保険は、週20時間以上勤め、31日以上の雇用が見込まれることなど一定の条件を満たせば加入対象になる。退職時に受けられる高年齢求職者給付金のほか、資格取得講座などの授業料の一部負担が受けられる教育訓練給付制度、家族を介護する際の介護休業給付金も受けられるようになる。働く人の保険料負担は一般的に0.3%程度で、給与が15万円ならば月450円程度と軽いので加入を確認しておきたい。

■長い老後で、資金枯渇リスク 年金、年下妻は繰り下げに注意

 年金の受け取り方も、65歳を迎える前に考えたい。

 老後の年金は、全員が加入する国民年金部分にあたる老齢基礎年金と、会社員だった人に上乗せ支給される老齢厚生年金に分かれる。いずれも支給開始は原則65歳から。ただ、現在の60代前半世代には特別支給の老齢厚生年金が65歳前から支給されている。これをすでに受給している人でも、65歳からの本来支給の年金の受け取り方は改めて選べる。

 受給開始を1年以上待てる人は、年金が8.4%増える繰り下げもできる。それ以降も1カ月ごとに0.7%ずつ増額され、最長70歳まで繰り下げると42%もアップ。65歳からの年金をゼロにするのが難しければ、夫婦いずれかの年金や、老齢基礎年金か老齢厚生年金の片方だけでも可能だ。

「年金は生涯受け取り続けるお金なので、それが増額されるメリットは大きい。(受給開始まで)働き続けたり、預貯金でやりくりできたりするなら魅力的な選択肢になります。ただ、受け取る年金額が増えると、その分所得税や住民税の負担も増えるので、増額分がすべて手取りになるとは限りません」(同)

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