「政党交付金で政治資金に余裕が生じ、結果的に返済資金ができている。税金で借金を返済しているようなものです」(上脇教授)
そもそも政党交付金は、リクルート事件などで「政治とカネ」が問題になり、できた制度だ。政治家個人が企業・団体献金を受け取れなくする代わりに95年に始まったが、政党への企業・団体献金は認められたまま。
お金が必要な時は銀行から借りて、豊富な企業・団体献金と私たちの税金をもとにゆっくり返済する。このやり方で、自民党はお金をため込むようになった。政治資金は余っており、翌年への繰越額は15年以降、100億円を超えている。
自民党は取材に対し文書でこう回答した。
「収支報告書の記載事項以上の内容については政治活動の自由に鑑み、回答は控えたい。なお返済にあたっては党執行部の了解のもと、全ておこなっていることは言うまでもありません」
今年は4月に統一地方選、夏には参院選が予定される。12年に一度、両方が重なる「政治決戦の年」だ。選挙には各党ともカネをかけるため、資金力の争いも激しくなる。可能性がささやかれている衆参同日選ともなれば、銀行から融資を受ける政党が出てくる可能性もある。
有権者は政治資金の集め方や使い方について、無関心ではいられない。(朝日新聞記者・津阪直樹、五十嵐聖士郎、板橋洋佳、座小田英史)
※週刊朝日 2019年3月8日号より抜粋