■人前で歌うのは今も恥ずかしい

──娘さんたちは何歳?

 上の娘が5歳で、下の娘は2歳半よ。じつは下の娘には昨夜初めて主人(映画監督のジョン・クラシンスキー)が見せたんだけど、とても気に入ってくれたの。私はいままで「クワイエット・プレイス」とか、「ガール・オン・ザ・トレイン」とか、子どもは見られない映画にたくさん出てきたから、これは娘たちが楽しめる最初の私の映画なんです。うれしいわ。

──ご自身が子どもの頃、メリー・ポピンズがいたらなと思ったことは?

 じつは、私にとっては祖母がメリー・ポピンズだったんです。魅力的で、変わっていて、エキセントリックで。とても美しい絵を描くアーティストで、いつも創造的な話をしてくれた。それに、冷蔵庫の三つの食材からおいしい料理がつくれる人で、私には魔法のように思えた。愛情深くて、希望に満ちていて、私の人生にとって祖母は非常に大きな存在でした。

──では、人生において、メリー・ポピンズの魔法の呪文「スーパーカリフラジリスティック~」を唱えたくなったことはなかった?

 ないわ!(笑) その質問は気に入ったけど、じつは、新作では、その呪文は唱えていないのよ。

──なぜ今作では、魔法の呪文は必要なかったのでしょうか?

 続編をつくるにあたって、そこが核心だったからだと思います。「スーパーカリフラジリスティック~」は、オリジナルの映画でとても象徴的な曲だから。ロブ・マーシャル監督がやろうとしたことは、エレガントな気配を生かしながらオリジナルの映画を称賛すること。大切な場面で、「タコをあげよう」とか「お砂糖ひとさじで」といった曲が、オーケストラで流れるんですよ。最初の作品をそのまま使うのではなく、同じ精神を生み出すのに使ったの。新作には新しい楽曲がありますしね。

──その新しい楽曲を、7曲歌っていらっしゃいますね。2014年に映画「イントゥ・ザ・ウッズ」(*1)で初めて歌声を披露されたときは、人前で歌うなんて恥ずかしい、とおっしゃっていたと思いますが。

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