

落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「学級閉鎖」。
* * *
某日・午前中。録画していた朝ドラ『まんぷく』を見終わった頃、編集担当K氏よりメールが送られてきた。「次回のテーマは『学級閉鎖』です。〆切厳守でお願いします!」「ハイハイ~分かりましたよ~」。独りごちながら「承知しました」と返信する。『まんぷく』ではようやく主人公の萬平が「ラーメン」について思案し始めた。いつまでたっても「即席ラーメン」に辿りつかなかったが、残り2カ月でやっと動き始めたのだ。
萬平さんは信用組合の理事長を辞め、なにもすることがなくなったとき「ラーメン」に行き着く。ようは『なにもすることがない』ということは、『何でもできる』のだ。『なにもすることがない』ってなんて素晴らしいのか。メールを送信し終えると、玄関のトビラが開いた。あれ? さっき出掛けたはずの中1の長男がもう帰ってきた。
長男「今日からインフルで学級閉鎖だって。朝の会だけで今日は下校。パソコンに学校からメール来てない?」。クラスの3分の1が罹患したらしい。なるほど、その旨を保護者に伝えるメールがK氏のメールの後に届いていた。『学級閉鎖』の連鎖にちょっと鳥肌。
私「お前は無事だろうな?」
長男「元気だよ」
私「なら、いーなー! 羨ましいよ。パパも『学級閉鎖』になりてえよっ!! くっそー、羨ましいぞっ、学生っ!!」
正月疲れがモロにきている私は、つい大人げない言葉を吐く。遊び放題じゃないか。マジホント羨ましいッス。
「あのね、そんなこと言うけど遊びに行けないんだよ……先生が『外に出ず、家のなかで過ごすように』だってよ」と長男は呆れ顔。
「バカ野郎、お約束だよ! そんなの守るヤツはいないだろうがっ!」と子供力全開の41歳。「学校から電話がかかってくるんだよ」と長男。
驚いた。先生いわく「学級閉鎖の期間中は毎日、ランダムに抽出した数名に時間を問わず家で安静にしているかを確認するため電話をします」……なんだって。今どきの学校、こわ……。