西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「タバコの害について」。
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【ポイント】
(1)タバコは確実で最強の発がん効果を持っている
(2)認知症にとってもタバコの害は確実である
(3)タバコの害と心のときめき、どちらをとるか
来年のオリンピックの開催に向けて、様々な準備が始まっていますが、そのひとつにタバコの規制があります。
愛煙家にとっては、ますます肩身が狭くなりそうですが、国際的な基準からみると日本は喫煙に寛容すぎたのかもしれません。がん診療の世界では、発がん性物質の筆頭にあげられるのがタバコなのです。タバコは確実で最強の発がん効果を持っています。
今から30年ほど前になりますが、米国でがんの罹患率が初めて下降しました。その理由はなんだろうかと思っているときに、米国の統合医学のオピニオンリーダーであるアンドルー・ワイル博士に会いました。そこでそのことを聞いてみると、「禁煙だよ! 決まっているじゃないか!」と吐き捨てるように言われてしまいました。米国ではすでに常識だった禁煙が、日本ではまだそれほどではなかったのです。
認知症にとってもタバコの害は確実です。タバコは脳の血流を低下させると共に、脳の重要な部分である灰白質の密度を低下させます。タバコが脳血管障害を引き起こすリスクを高めることは、間違いのないところなのです。
喫煙と認知症の関係は、九州大学が長年にわたり福岡県久山町で行っている調査研究でも明らかになっています。中年期と老年期にタバコを吸わなかった人に対し、ずっと喫煙を続けた人は、アルツハイマー型認知症で2.0倍、脳血管性認知症で2.9倍発症するというのです。これが、老年期に禁煙した人では、アルツハイマー型認知症で1.6倍に、脳血管性認知症で2.0倍に減少します。やはり認知症になりたくなければ、禁煙した方がいいのです。