田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
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イラスト/ウノ・カマキリ

 ジャーナリストの田原総一朗氏は、日本国民の政治への無関心を危惧する。

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 自民党の国会議員で、その言動が国民から非常に注目されている小泉進次郎氏が、私に次のように言った。

「なぜか、日本の国民の大多数は政治に関心がないのですよね。大変困ったことだと思いますが」

 私も同じ思いを持っていて、日本の大問題だと捉えている。

 そういえば、スイスから日本に留学してきていたタレントの春香クリスティーンさんが私に、「スイスやフランスやイギリスの学生たちは、集まれば必ず政治についての議論をしますが、なぜか日本の学生さんたちは、まったく政治論議をしません。なぜなのですか」と、不思議そうに問うたことがある。

 たとえば、他の先進国で森友・加計疑惑のようなことが起きれば、当然ながら国民は連日大デモを繰り広げて、安倍内閣は倒壊していたはずである。

 韓国では、朴槿恵前大統領を辞めさせるために、連日100万人デモが繰り広げられたが、朴前大統領は実は強い対人恐怖症で、たまたま懇意にできる女性が現れて、彼女のために財団などをつくるなどしただけで、私は朴前大統領に同情さえしている。

 それに対して、日本では大きなデモも生じず、マスメディアも倒閣とは程遠い批判を繰り返していただけであった。

 野党も、国民の後押しがないために、安倍内閣を揺さぶることができず、また自民党議員たちは、いずれも森友・加計疑惑から目をそらしていた。下手に森友・加計疑惑について発言して、安倍首相のご機嫌を損ねることを恐れていたのである。

 安倍首相のご機嫌取りばかりに熱心で、この国のために何をやるべきか、何をやるべきでないかを責任を持って考えていないわけだ。それでも選挙で当選できてしまうのである。

 また、国民の大多数が政治に関心を持っていないので、テレビのワイドショーなどでもあまり政治を扱わない。政治問題を扱うと視聴率が落ちるからである。

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