明治28年の創業で、牛肉佃煮の元祖。タレントの石塚英彦や内山信二による極上の黒毛和牛すき焼きや、しゃぶしゃぶの食リポは、これまで何度見たかわからないが、不思議と既視感がなく、毎回、新鮮な気持ちで見ることができるのは、同店がもつ“極上黒毛和牛パワー”かもしれない。とにかく浅草を紹介するには“お約束”の映像なのだ。

 つまりは、テレビ番組の取材やロケに対し、ひじょうに理解のあるお店。そこのお弁当が人気1位とは、『浅草今半』とテレビタレントとは相思相愛の間柄と言えよう。

 お弁当は、まげわっぱ入りの持ち帰り用と、四角い容器の“お届け専門”があるが内容はほぼ同じ。よって『浅草今半』の店舗でも扱うメニューを楽屋や前室で食すことができるというワケなのである。

「牛肉の旨味を知り尽くした味つけ」「選りすぐりの素材、その風味を存分に引き出す匠の技」というふれこみで、包装紙には「味と心のお弁当」なる一文がある。

 包装紙の色でテンションが上がるのは『津多屋』の青色と『浅草今半』のオレンジ色のみ。その昔、「オレンジ色のニクい奴」という夕刊紙があったが、さしずめ、このお弁当は「オレンジ色の肉のヤツ」? 会議弁当にも最適だと思う。

週刊朝日  2019年1月18日号

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山田美保子

山田美保子

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

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