「IoTの普及や全産業のデジタル化を進める上で重要なインフラになります」(同)

 5Gはこれまで使われていなかった高い周波数帯を使うため、電波の届く範囲が狭い。基地局を多く設置したり、受信を助ける特別な装置を設置したりする必要がある。それが日本には有利に働く。国土が狭く人口が密集しており効率的に配置できるためだ。

 20年には東京五輪・パラリンピック、25年には大阪万博がひかえる。こうしたビッグイベントは、IoTや5Gなどの先進事例を発信する絶好の機会。五輪や万博は、競技場や交通機関を整備することで、景気をすでに刺激している。そこにデジタル化が組み合わされば、景気はさらに加速していく。

 日本経済の弱さを補ってくれるのが外国人だ。消費増税や年金への不信感もあって、日本人は消費を抑えてきた。商店街はさびれ、夜の街も活気を失っていた。そこを救ってくれたのが爆買いしてくれる外国人マネー。18年に日本を訪れた外国人旅行者は初めて3千万人を超えた。ここ5年で約3倍に急増している。

 政府は訪日外国人数を20年に4千万人、30年に6千万人まで増やす目標を掲げる。受け入れ態勢は徐々に改善しており、頑張れば達成できそうだ。将来は「外国人観光客1億人時代」が来るともいわれる。

 経済の足かせになっている人手不足の解消も外国人頼み。昨年10月末時点の外国人労働者は約128万人。外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法が成立し、4月から施行される。外食や介護、農業や建設といった、日本人の働き手が少ない分野で活躍してもらおうとしている。事実上の「移民」受け入れにつながるが、少子高齢化の日本が成長するには避けては通れない道だ。

 日本経済の強さを指摘した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が出版されたのは79年。絶頂期は長くは続かず、バブル崩壊後の「失われた30年」は悲観論が支配的だった。でも、最強シナリオが現実化すれば、「日はまた昇る」。みんなが楽観的になれば、意外と「正夢」になるのかもしれない。(本誌・経済取材班)

週刊朝日  2019年1月18日号より抜粋