「流出したLINEが不倫の決定的な証拠になった。平成後期を象徴する言葉ですね。これによって芸能人をとりまく環境はさらに厳しくなった。渡辺謙さんも離婚しました」
芸能人もネットで情報発信するようになったが、失言はすぐに広まり、重大な結果を招く。
最近では、若手漫才の日本一決定戦「M―1グランプリ2018」をめぐる騒動があった。昨年優勝のお笑いコンビ「とろサーモン」の久保田かずのぶと、今年出場した「スーパーマラドーナ」の武智が、審査員の上沼恵美子に対しネット上で暴言を繰り返し、謝罪に追い込まれた。
「いまは世の中全体がバッシングの時代になっているので、不適切なことを言うと一斉にたたかれる。平成のはじめに勝新太郎さんは『もうパンツを履かない』と言った。いまではこういうことは言えない。昭和を代表する名優の勝さんが生きていたころとは違って、一言が命取りになる時代になりました」
その代表例が、女優の沢尻エリカが07年に口にした「別に……」。自身が主演する映画の舞台あいさつで、司会者に質問されても不機嫌なそぶりをみせた。
「沢尻さんは、誰かを中傷したり、反社会的な発言をしたりしたわけでもない。単に舞台あいさつでの態度が悪かったというだけなんです。昭和だったらなんてことなかったかもしれませんが、猛烈にバッシングされた。若手女優として一番いい時期を、ある意味干されることになってしまった」
いまは一般社会でも、「空気読めよ」という傾向が強い。周りから浮いて、この人に石を投げていいとなると、SNSなどでいっせいに批判が集中する。
自主規制も厳しくなって、とんねるずやダウンタウンがやっていることも、いじめやハラスメントに当たるという意見も出てきた。
「それに気づいた芸能人たちは慎重になり、芸能界がおもしろくなくなっているような感覚もあります」
来年5月からの新元号の時代には、芸能人の発言は、ますます慎重になっていくのかもしれない。
(本誌・太田サトル)
※週刊朝日オンライン限定記事