岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など
岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など
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初代ボンドのショーン・コネリー主演「ダイヤモンドは永遠に」(1971年公開)で、ボルドーワインが物語に登場している。ワインの知識でニセソムリエの正体をあばく(写真:getty images)
初代ボンドのショーン・コネリー主演「ダイヤモンドは永遠に」(1971年公開)で、ボルドーワインが物語に登場している。ワインの知識でニセソムリエの正体をあばく(写真:getty images)

 感染症は微生物が起こす病気である。そして、ワインや日本酒などのアルコールは、微生物が発酵によって作り出す飲み物である。両者の共通項は、とても多いのだ。感染症を専門とする医師であり、健康に関するプロであると同時に、日本ソムリエ協会認定のシニア・ワイン・エキスパートでもある岩田健太郎先生が「ワインと健康の関係」について解説する。

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 キリスト教においてワインは、キリストの「血」であり、パンはその「肉」ということになっている。「わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、いつもわたしの内におり、わたしもまたいつもその人の内にいる」(ヨハネ福音書)というのだ。

■フランスが世界最大のワインの産地になった理由に、シーザーあり
 
 さて、時代は下がってローマ帝国の時代。ローマの国で本格的なブドウ栽培とワイン造りをするようになったのは、ギリシャ人とエトルリア人の影響だという。紀元前8世紀くらいのことで、ちょうどロムルスによるローマ建国の頃だ。
 
 ローマ帝国時代の終身独裁官ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル、紀元前100~44年)が紀元前58~51年に「ガリア」の地で戦争をし、現在のフランスにあたる土地はローマ領になった。そのため、この地はローマの影響を強く受けた。ローヌで、プロバンスで、ボルドーで、ブルゴーニュで、そしてシャンパーニュでブドウ栽培とワイン造りが行われる。いずれも21世紀現在の高名なワインの名産地だ。この頃から、フランスは世界最大のワイン産地となったのだ。

 ローマ時代から、ワインの輸送はアンフォラではなく樽が使われるようになった。樽というのはケルト人の発明なのだとか。このとき、樽熟成がワインの質を高めることが発見されたのだろう。また、割れやすい陶器のアンフォラではなく、木でできた樽になることで輸送はずっと容易に安全になったであろう。

 ちなみに、ガラスは紀元前4000年にはすでにあったのだそうだ。紀元前1500年には人々は、ガラスのグラスでワインを飲んでいた。ガラスを「吹いて」グラスを作るようになったのは紀元前1世紀で、シリアで作られた。これがローマ帝国で普及し、ローマ時代の人たちはグラスでワインを飲んでいた。ただし、現代のようにガラスの瓶にワインを詰めるようになるのは、もっとあとの話だ。

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慢性鉛中毒がローマ帝国滅ぼす!?