「田中圭さんの演技スタイルは、私にとっても新鮮な驚きでした」
【田中圭・写真特集】映画とは違う? スーツ&萌え袖セーター姿のギャップにきゅん!
こう語るのは、映画「スマホを落としただけなのに」で、初めて田中さんと仕事をしたという中田秀夫監督。非常に楽しい経験で、「またぜひ、ご一緒させていただきたい」という中田監督に、田中さんとの撮影中のエピソードや、その魅力を明かしてもらった。
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もともと、芝居の勘所を捉えるのがものすごく上手い方だと思っていましたが、一緒に仕事をさせてもらって、想像通り「打てば響く」俳優さんだと思いました。
映画の冒頭に、北川景子さん演じる彼女にプロポーズをしようと思っている田中さんが、タクシーの中からメッセージを送ろうとして、どういう文面にしようかと迷う場面があるのですが、その独り言を、「わけわかんなくなってきたな、わけわかんないぞ」とアドリブで繰り返し言われたのがとても自然で、なるほどと感心させられました。
また、怒らせてしまった彼女と自室で仲直りをする場面で、キスをするなら唇でなくおでこに、キスしないなら彼女を抱きしめながらベッドに倒れこむのはどうか、と提案してもらいました。後者を採用させてもらいましたが、よく考えてきてくれてるなあと思いましたね。
彼の最大の魅力は、地に足が着いた等身大の男性、隣に住んでいるフツーの男を演じられること。このフツーであること、というのが、俳優さんにとって実は最も難易度が高いことだと思うんです。田中さんはおそらく、大変理知的に、演じる役を理解しながらも、実際の表現としてはごく自然な表情、台詞の言い回しを身につけてらっしゃるのではないでしょうか。
田中さんは、ハリウッドの名優たちで言えば、ダスティン・ホフマン的。いつか、ホフマンがメリル・ストリープと演じた「クレイマーVSクレイマー」のような、ど正面の「家族ドラマ」の主役を、名女優とがっぷり四つに組んで演じていただきたいなと思いますね。
役者としてはもちろんですが、田中さんは、人としても大変魅力的な方でした。常に自然体で、肩の力が抜けていて、偉ぶることがない。しかも紳士っぽさがあり、女性も自然にエスコートできるんです。完成披露試写の会場で、階段を降りる北川さんに自然に手を差し伸べているのを見て、「モテる男」だなと。自分もああなりたいな~と思っています(笑)。
■中田秀夫(なかた・ひでお)
映画監督。1961年生まれ。11月2日公開の「スマホを落としただけなのに」のほか、代表作に映画「リング」シリーズがある。
※週刊朝日2018年11月2日号