(イラスト/阿部結)
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 SNSで「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれるノンフィクション作家・山田清機さんの『週刊朝日』連載、『大センセイの大魂嘆(だいこんたん)!』。今回のテーマは「AIとバナナの色付け師」。

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 コンピュータにはCPU(中央演算処理装置)というものが入っていて、どうやらそれがコンピュータの心臓部であるらしい。

 らしい、などといかにも自信なさそうに書くのは、大センセイが人並み外れたITオンチだからだが、にもかかわらず、このCPUを作っている会社の社長を取材したことがあるんである。

 社長さん、こんなことを言っていた。

「そもそもコンピュータとは、専門家にしかできなかった難しいことを、誰もが簡単にできるようにするために生まれた機械なんです」

 なるほどな。コンピュータって、「仕組みはよくわからないけど、すごいことをやっている機械」ぐらいに思っていたので、この「誰もが簡単に」は目からウロコが落ちる解説であった。

 ところで、大センセイはバナナを愛してやまない人である。大センセイのバナナ愛の始まりは、獅子文六が書いた『バナナ』という小説を読んだことにある。

 文六さんの小説はノンフィクションとして読んでも一級品で、『バナナ』にはバナナの流通過程の話が詳しく書き込まれている。

 この小説を読むまで知らなかったが、バナナは防疫上の問題から熟した状態では輸入できないため、若い「青バナナ」を輸入し、それを黄色く色付けして出荷するのだが、この色付け作業の専門家を「バナナの色付け師」と呼ぶと、文六さんは書いておられる。

 そんな職業、本当にこの世にあるんだろうか?

 大センセイ、どうしてもバナナの色付け師に会ってみたくなって、バナナの仲卸業者「松孝」に、取材を申し込んだのであった。

 はたして、バナナの色付け師は実在した。

 色付け師は青バナナを室に入れると、温度を微妙に調節しながらじっくりと熟成させていく。市場の動向次第では、熟成スピードを上げるためにエチレンガスを注入することもある。

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