実は、トランプ氏がヒラリー・クリントン氏を打ち負かしたのは、トランプ氏の次のような強調に、米国の国民大衆が同意したためであった。
米国は、第2次世界大戦以後、世界の国々の犠牲になり続けてきた。第2次世界大戦で全土が戦場となった欧州を復興させるためにマーシャルプランで大量の資金を投じ、アジアの国々にも大量の資金を投じた。さらに、冷戦時代にはソ連の侵略から西側の国々を守るために、大量の軍隊を派遣し、膨大な資金を投じた。
いわば、米国は世界の国々の犠牲になり続けてきたために、米国の経済はボロボロになってしまった。いまとなっては、米国第一主義で、米国人の雇用を増大し、米国人の生活を守ることが何よりも重要である。そして、トランプ氏はグローバリズムを全面的に否定した。
この露骨なホンネの主張が、米国民のホンネと合致したのである。
安倍首相は、こうしたトランプ氏にどう対応しようとしているのか。日米交渉にマスメディアは大変悲観的だが、米中覇権抗争が激化する中で、トランプ氏が最終的に日本を切り捨てることはないはずだ。日本としては徹底的に粘るべきで、また安倍首相にはそのタフネスさはあるのではないか。
※週刊朝日2018年10月26日号