免疫チェックポイント阻害薬のメカニズムとはどのようなものか。私たちのからだにはウイルスや細菌などの異物が入ってきたときにこれを排除するための免疫機構が備わっており、がん細胞に対してもこのメカニズムが作用する。
しかし、異物を退治した後に免疫の働きが活性化され続けていると自分のからだが攻撃を受け続け、逆に痛めつけられてしまう。こうしたことがないように免疫細胞には攻撃をほどほどで抑えるブレーキボタンがある。これが免疫チェックポイントだ。がん細胞は免疫細胞に攻撃されるとこの免疫チェックポイントに手を伸ばし、このブレーキボタンを押してしまう。こうして自分に対する免疫の攻撃を抑え、増殖するのだ。
免疫チェックポイント阻害薬はブレーキボタンを押すがん細胞の腕を外し、ブレーキを解除する。結果、免疫細胞の攻撃力が復活するというわけだ。
この免疫細胞のブレーキを担う物質の一つがPD-1というたんぱく質であり、ニボルマブとペムブロリズマブはこの物質の働きを抑える抗PD-1抗体。なお、同じくブレーキを担う物質にPD-L1があり、こちらはがん細胞に発現するため、薬が使えるかどうかの指標に使われている。
具体的にはPD-L1の発現量が50%以上の場合に1次治療でペムブロリズマブを使用する。発現量が低い場合は2次治療からの適応となる。なお、扁平上皮がんの場合は抗体の発現がなくても2次治療から免疫チェックポイント阻害薬を使うことができる。
「たばこによる影響が強い扁平上皮がんは遺伝子異常がたくさん含まれており、正常細胞とは異なる抗原が多く発現しています。このため、免疫細胞が認識しやすく、免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいのです」(同)
なお、PD-L1に対する抗体薬「抗PD-L1抗体」も現在、開発中だ。
■多くの臨床試験が世界中で実施中
このほかにも免疫チェックポイント阻害薬については多くの臨床試験が実施されている。