林:この本を読んでびっくりしたのは、村上さんのお父さま、毎月のお小遣いのかわりに100万円渡して「これを増やしなさい」と言ったんでしょう?
村上:小学校3年生のときかな。
林:その100万円が増えていくのが楽しくてたまらなかったとお書きになってますね。
村上:楽しいですよ。最初はサッポロビールの株を買うことから始めて以来、経済が成長していた時代で、どんどん株価が上がっていったから。もちろん失敗もしましたけどね。でも、ちょっとでもいいから投資を通じてお金が増えたり減ったりする経験をして「考える」ことをしたほうが、中長期的に見て、この国にとっていいと思うんです。林さんはお子さんが中学高校のときにお金の教育をされましたか。自分がどれだけ本を書いて稼いでいるか、お子さんは知ってましたか。
林:子どもの頃、一緒にATMに行くから、数字(残高)を覚えちゃうんですよ。「今、うちにお金がないから買えない」って言うと、「あるじゃん。おろせばいいじゃん」って(笑)。
村上:子どもも、親がどれだけのお金を稼いでどれだけのお金を借りているか、知ったほうがいいよというのが、僕の考えです。
林:今、大学に行くためにすごく多くの若者が奨学金でお金を借りてますよね、そして返せない。
村上:年間3千人も破産してるんです。親が保証人になって、親も子どもも破産している。これって異常ですよ。親が連帯保証人としてサインするのはやめてほしい。そもそもお金を借りてまでして、子どもが大学に行く必要があるのかどうか考えてほしい。住宅ローンの金利が安いからといって住宅を安易に買うのはやめて、いま自分たちにとって住宅がどれほど必要なのかをよく考えてほしい。
(構成/本誌・松岡かすみ)
※週刊朝日 2018年9月28日号より抜粋