コンビニの数より多いといわれる歯科医院の数。実際のところ、歯科医院は多すぎるのでしょうか? 患者にメリットはあるのでしょうか? 「コンビニより多い」といわれることを、歯科医はどう思っているのかなどを、テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に聞きました。
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厚生労働省の最新の調査(医療施設動態調査2017年1月末概数)では全国の歯科医院の数は6万8872軒、コンビニの店舗数は5万5322軒(日本フランチャイズチェーン協会調査17年12月末)で、コンビニの数より多いのは間違いありません。
経営者である歯科医師自身が高齢化を理由に閉院したり、過当競争によって倒産したりする歯科医院が増える一方、近年は歯科医師会に入らずに開業する新規の歯科医院も多く、歯科医院の数は大幅には減っていないのです(かつては歯科医師会に開業の場所なども含め相談しながら、地域で歯科医院としてやっていくことが一般的でした)。
ただし、歯科医院数が集中しているのは人口の多い地域です。最新の調査では、日本で最も歯科医院の数が多いのは東京都で1万652軒。人口対の軒数も日本一で、約1200人に1軒存在します(第2位は徳島県です)。
さらに開業する場合は患者さんが多く来院される場所を選ぶため、都心かつ、駅の周囲に集中してしまいます。例えば私のクリニックがある渋谷区では人口22万4533人(2015年、JMAP・日本医師会地域医療情報システム)に対し、393軒(17年、同)の歯科医院が存在しており、これは570人に1軒の計算になります。
恵比寿駅や渋谷駅の周囲を歩くと、「ここにもある!ここにも!」と、その多さに歯科医の私も驚いてしまうほどなのです。
一方で歯科医院の数が最も少ないのは福井県で、約2600人に1軒、第2位の島根県は約2500人に1軒。つまり、人口対比でみると東京の半分しか歯科医院の数がありません。
歯科医の間では、2000人に1軒程度の比率だと、その地域で保険診療の歯科医院を安定して経営できるといわれています(都心の歯医者はそれが難しいこともあり、結果的に自費診療中心の歯科医院が多くなるのです)。