──圧倒的な歌唱力とダンスパフォーマンスで高い評価を受けていますが、ご自身はアーティスト・三浦大知の魅力についてどう考えていますか。
どうでしょう? いい歌やダンスって、人それぞれ違うわけじゃないですか。激しいダンスが好きな人もいれば、静かなのが好きな人もいる。音程がそろったきれいな歌に感動することもあれば、何曲も歌った後のかれた声にグッとくることもある。表現なので、正解がない。僕はそのときそのときのベストを尽くすことしかできないわけです。
でも、目標はあります。初めてマイケル・ジャクソンを見たとき、「唯一無二の、オリジナルの人だ」と思ったんです。だから自分も、そうありたい。何をしても“三浦大知だよな”という存在でありたい。
たとえば「球体」は今までにない文学的な表現だと思うんです。このアルバムと連動したツアーをしていましたが(6月27日の名古屋で終了)、ステージに立つのは僕一人で、バンドもダンサーもいない。もちろんスタッフはたくさんいてくれますが、舞台演出で魅せていくつくりになっています。一方で17年から今年にかけての全国ツアーにはたくさんの人たちに出演していただいて、いろんな角度から楽しめる音楽エンターテインメントになっていました。どちらも僕にとって大切な表現で続けていきたいと思っていますが、「何をしていても三浦大知だよね」って思ってもらえる、そんな魅力を持つアーティストになれたらうれしいですね。
──9歳で「Folder」のメンバーとしてデビューしてから20年以上、17歳でソロデビューしてからは13年、長いキャリアのなかで、歌やダンスに対する思いに変化はありましたか。
思いは変わらないですね。子どものころから本当に歌とダンスが楽しくて、「あんなことやりたい」「こんなことやりたい」という気持ちで続けてきました。
でも、きっと今のほうが好きだと思います。9歳のときの自分よりも歌やダンスに対する理解が深まっている分、「こんな楽しい音楽がある」「もっとこんなことができる」という、表現の幅が広がりましたから。
──歌やダンスがイヤになることは、一度もなかった?
制作しているときは基本的にしんどいです。僕は“降りてくる”ということがないので、考えて考えてアイデアを絞り出して、最終的に自分のなかで答え合わせをしていくしかない。疲れますが、だからこそ皆さんに楽曲を届けることができるし、ライブで楽しんでもらえる。苦しみの先に必ず喜びがあることを知っていますから、頑張れます。
──一番の喜びの場は、やっぱりライブ?
僕の場合は、やっぱりそうですね。自分の作ったものを皆さんが直接受け取って喜んだり楽しんだりしてくれる。音楽で心と心がつながる瞬間は、最高に幸せです。
(取材・構成/本誌・野村美絵)
※週刊朝日 2018年7月20日号