ビットコインの高騰で、資産が億単位に増えた投資家“億り人”が話題を集めた。一方で、会社のかじとりで1億円以上の報酬を稼ぐ、経営者版“億り人”も538人いる(2018年3月期企業)。社員の平均給与は頭打ちの一方で、高額の報酬を得る経営者は近年増え続ける。そのワケは……。
報酬1億円以上の役員の公表制度をもとに、東京商工リサーチが6月29日時点で集計した。集計対象企業2413社(18年3月期)のうち、報酬1億円以上の役員がいた会社は240社、538人。前年の223社、466人から大きく増えた。
報酬額1位は、ソニーの平井一夫会長(57)で約27億円。基本報酬は2億4千万円で、業績連動分や株式退職金なども含めた合計額になる。前年の約9億円から3倍に増えている。東京商工リサーチによると、歴代5番目に高いという。
12年に社長に就いた平井氏は就任時に営業赤字だった会社を黒字転換させ、その後も業績を改善。今年4月、社長の座を吉田憲一郎氏(58)に譲った。
「17年度は過去最高の業績を20年ぶりに更新した」「経営陣が一致団結して、業績向上に努める」
経営を受け継いだ吉田社長は6月19日の株主総会で、こう強調した。吉田社長も前年の4億3千万円から約9億円に倍増して9位。6月に退任した鈴木智行副社長(63)は6億3千万円で、ソニーから計3人がトップ40入りしている。
同じ電機メーカーでも、ソニーと違う報酬体系をうかがわせるのが、三菱電機。
トップ40に一人も名を連ねていないが、報酬1億円以上の役員は計22人で、最多だった。同社のなかで最も高い柵山正樹会長(66)が2億8千万円で、最も低い役員の1億3千万円の2倍ほど。役員間の金額差が小さい。
電機業界と同様に国際競争が激しい自動車メーカーも、報酬の高い経営者が目立つ。日産自動車のカルロス・ゴーン会長(64)は14位で7億3千万円。ここ数年は10億円超えが続いたが、社長を昨春退いたこともあり、前年から約3億6千万円下がった。一方で、西川廣人社長(64)は25位の約5億円。前年から1億円ほど増えている。