ビッグマウスも復活した本田 (c)朝日新聞社
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試合後、あいさつを交わす本田 (c)朝日新聞社
試合後、あいさつを交わす本田 (c)朝日新聞社

 持っている男、本田圭佑は違う。ベルギー戦の後半36分に途中出場し、2-2の同ロスタイムには得意の無回転FKで相手ゴールを脅かすなど存在感をみせたMF本田圭佑。試合後、代表生活に区切りをつけることを示唆しており「おそらく代表のキャリアはこれで最後になるだろう」と語った。コロンビア戦では決勝ゴールをアシスト、セネガル戦では同点ゴールを決めるなど躍進の立役者となった。

【写真】試合後の本田 この光景はもう見られない…?

 本田といえば、これまでビッグマウスで注目を集めてきた。しかし、この4年間は自身のプレーの停滞とともに、ビッグマウスも空回り気味だった。

 4年前のW杯ブラジル大会では「優勝を狙う」と公言し続けていたものの、終わってみれば2敗1分けの惨敗。2014年にイタリアの名門・ACミランに移籍した際の会見では「心の中のリトル・ホンダに聞きました」と決断理由を明かし、「リトル・ホンダ」が一時流行するほど。しかし、ミランでは結局、活躍はできなかった。今大会前の5月に放送されたNHKの番組内では、「プロフェッショナルとはケイスケホンダ」と発言して視聴者の失笑を誘った。また、代表入りの危機が報じられ始めると、当時のハリルホジッチ監督に反発するような発言をするなど、ファンからの支持も徐々に失っていった。10年にわたり本田を取材し続け、本田に関する著書も出しているスポーツライターの木崎伸也さんは「バッシングはある意味、仕方ない面がある」と語る一方、本田はこの4年で、スタンスが変わったという。

「やはり前回大会の惨敗が大きかったのでしょう。彼は当時、本気で優勝を狙っていて、メディアの前でもほぼ話さなかった。しかし、惨敗によりバッシングされ、W杯後、日本には戻らず、傷心旅行のような形でアメリカ各地を回りました。こんな自由な国があるんだ、人と違った発想をしても干渉されない国があるんだと感じたそうです。その影響からか、それまでの殻を破り、メディアへの対応も以前よりは穏やかになりました。また、ビジネスをやり始めたこともあってか、サッカーを俯瞰するような、経営者視点で語ることも多くなりました」

 ただ、ビッグマウスぶりは基本的には同じという。

「強気な発言がクローズアップされないだけで、図々しさのレベルは変わっていません(笑)。優勝狙う発言も実はちょこちょこしてますし」(木崎さん)

 確かに、今大会の第3戦のポーランド戦、0−1で負けている状況にもかかわらず、西野朗監督は無理に攻めないように指示し、結果的にグループリーグ突破を決めた。本田は、自身は試合に出ていなかったが、「僕が監督でもこの采配はできなかった。そう客観的に見ていた自分もいた。結果がすべて。西野さんはすごい」と“上から目線”のコメントは相変わらず。ビッグマウスに注目だ。(本誌・大塚淳史)

週刊朝日 2018年7月13日号