冷蔵庫内部のカビや汚れは、スポンジでこすり落とす(HITOWAライフパートナー提供)
冷蔵庫内部のカビや汚れは、スポンジでこすり落とす(HITOWAライフパートナー提供)
ミネラルウォーターのボトルの下部に現れたカビ(大阪市立自然史博物館・浜田信夫さん提供)
ミネラルウォーターのボトルの下部に現れたカビ(大阪市立自然史博物館・浜田信夫さん提供)
中央にカビが生えたマーガリン(大阪市立自然史博物館・浜田信夫さん提供)
中央にカビが生えたマーガリン(大阪市立自然史博物館・浜田信夫さん提供)
カビがびっしり生えた冷蔵庫のドアパッキン(大阪市立自然史博物館・浜田信夫さん提供)
カビがびっしり生えた冷蔵庫のドアパッキン(大阪市立自然史博物館・浜田信夫さん提供)

 梅雨時に気になるのがカビ。ひんやりする冷蔵庫は安心と思いきや、カビが繁殖しがちだと聞けば、ゾッとするかもしれない。傷のついた野菜、調味料の飛び散り、劣化したパッキン、見逃しやすい製氷機など、なぜカビだらけになるのか。そのメカニズムと掃除のコツを聞きました。

【写真】放置しておくと、こんなところにもカビが生える!

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 はじめにカビが繁殖する条件を見ていこう。

 まず温度。カビが好む最適温度は20~30度とされているが、0~50度の範囲であればカビは活動できるという。

 カビの専門家で大阪市立自然史博物館外来研究員の浜田信夫さんによると、「カビは低温に強い。温度が5度ぐらいから活動する」という。

 冷蔵庫のクリーニングなどを手がける「おそうじ本舗」を運営するHITOWAライフパートナー営業企画部の尾崎真次長は「ドアを何回も開けるたびに室温の空気が入り、冷蔵庫内の温度が安定しない。梅雨時から秋にかけては“カビが生えやすい”と言えると思います」と話す。

 浜田さんが注意を促すのはドアポケットと野菜室だ。「ドアポケットは開けるたびに外気に触れやすい。野菜室は設定温度が他より高め」と、その理由を挙げる。

 次に湿度。暗くて日が当たらない、ジメジメした場所を好むカビ。尾崎次長は「繁殖条件は湿度60%以上。80%を超えると、格段に増えます」と断言する。外気の水分が入り込んだり、食品のパッケージの袋の中で結露が発生したりすると、カビを誘引する。

 三つ目が、カビのエサの存在だ。エサは食品に限らず、意外にも繊維や紙、パッキンも栄養源となる。

■見逃しやすい! 製氷機にもカビ

 では、清潔な冷蔵庫にする掃除法と、カビ予防のポイントを見ていこう。

 まずは大きめのクーラーボックスや保冷バッグ、保冷剤を用意して、大胆に冷蔵庫を空っぽに。すかさず賞味期限や消費期限が切れている食材は処分しよう。

 次に、ドアポケットやチルドルームの引き出し、トレー、野菜室などを取り外す。「野菜室の容器の裏側に野菜くずが落ちていると、そこにカビが生えていることがあるんです」と尾崎次長。外したパーツは薄めた食器用中性洗剤で洗う。エタノール除菌を推奨する声もあるが、「成分が強いため(冷蔵庫の素材を)劣化させる可能性がある」ので、尾崎次長はお勧めしない。洗ったパーツは乾燥させる。プラスチックなど、冷蔵庫に使われる樹脂系の素材は紫外線に弱い。だから、ベランダ干しは避けよう。

 冷蔵庫の内部もパーツと同様スポンジに中性洗剤をつけて、カビや汚れをこすり落とす。

 夏に大活躍の製氷機も気にしたい。タンクや冷蔵庫側の吸い込み口にカビがあると、氷に影響する。同じ食器用中性洗剤で掃除しよう。塩素を含まないミネラルウォーターは、カビが生える原因になる。製氷機には水道水を。

 ラストは外部の掃除だ。「サッと水拭き」と思っているなら大間違い。冷蔵庫のドアの持ち手に集まるのが手垢(てあか)、すなわちカビのエサだ。

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