寝具店での接客。快適な睡眠を求めて好みの枕をつくる人も増えている
寝具店での接客。快適な睡眠を求めて好みの枕をつくる人も増えている
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日本人の4割は6時間未満の睡眠時間になっている(週刊朝日 2018年7月6日号より)
日本人の4割は6時間未満の睡眠時間になっている(週刊朝日 2018年7月6日号より)
睡眠負債のチェック項目(一つでも当てはまれば要注意)(週刊朝日 2018年7月6日号より)
睡眠負債のチェック項目(一つでも当てはまれば要注意)(週刊朝日 2018年7月6日号より)
すみやかに寝るための10カ条(週刊朝日 2018年7月6日号より)
すみやかに寝るための10カ条(週刊朝日 2018年7月6日号より)

 7時間は必要ともいわれる睡眠時間。厚生労働省が調べたところ、7時間に満たない人が、20歳以上の男女全体の7割を超える結果に。しかも現代人の睡眠時間は減少し、多くが「睡眠負債」を抱えているのだ。そこには様々な健康リスクが伴っている。

【すみやかに寝るための10カ条はこちら】

 年齢を重ねると、眠りが浅くなったり、分断されたりする。睡眠ホルモンと言われるメラトニンの分泌が減るためだ。高齢者の3割が不眠症で悩んでいるとも言われる。無論、高齢者でも、とくに高血圧や糖尿病の持病がある場合、睡眠負債が心筋梗塞(こうそく)や脳卒中のリスクを高める。

 日常生活での活動量が減ったせいで、夜に眠れなくなる高齢者は少なくない。頻尿で目を覚まし、睡眠を分断される人も多い。

「日中あまり動かず、うたた寝をするなど、生活のメリハリがなくなると不眠に陥る。日中は積極的に活動し、体のリズムを整えましょう」(睡眠評価研究機構代表で医学博士の白川修一郎さん)

 まとめて寝ないと負債はたまるという。

「睡眠が分断されると、体温が低下しないので交感神経が休まらない。自律神経に失調を起こしやすくなる。お昼寝は正午~午後3時の間に30分ぐらいにして、その後は活動してください。病気があると睡眠の質は悪くなります。特に夜間頻尿があると睡眠が妨害されます。3回以上ある人は泌尿器科に行って治療してください。最低でも6時間を切らないように睡眠をとりましょう」(同)

 睡眠時間が長すぎるのもよくない。施設などに入ると他者との対話が減り、ベッドに横になりがちだ。昼夜問わずに寝ていると睡眠の質は悪くなる。

「そういう人は生活のメリハリがなくなり、運動機能や認知機能が低下します。7、8時間の睡眠制限をしましょう」(同)

 高齢者は早朝の散歩も要注意だという。

「散歩は午後にしたほうがいい。起床直後に激しい運動をしたり朝風呂に入ったりすると、『モーニングサージ』という朝方の急激な血圧上昇による脳卒中を起こすことがあります。朝はちゃんと体が目覚めていないので転倒しやすいですから、早朝散歩は気をつけましょう」(同)

 仕事柄、ゆっくり眠れない人もいる。日本人の約2割が夜勤を含む交代制勤務で働いているとされる。運転手や警備員、看護師ら夜間でも働く人たちは、体内時計が乱れがちだ。

「体内時計は朝食を決まった時間にとり、朝の光を浴びると乱れにくくなります。夕食の時間もある程度決めておくとよいでしょう。夜勤に入る前に仮眠をとっておくと、すごく楽になる」(同)

 子どもの睡眠負債も要注意だ。

 文部科学省は「早寝早起き朝ごはん」を推奨している。同省の調査では、小学生の半数以上が夜10時過ぎまで起きている。午前0時過ぎまで起きているのは中学生だと22%、高校生だと47%にのぼる。成長期の中高生が大人と同様に夜更かしを続けている。

 明治薬科大学の駒田陽子准教授は、成長期の子どもの睡眠不足をこう懸念する。

「アメリカ睡眠財団が出した年代別の必要睡眠時間は、6~13歳は9~11時間、14~17歳は8~10時間です。夜遅く寝て学校に遅刻しないように朝早く起きる日本人の子どもは、睡眠時間が短い」

 文科省の実態調査では、不登校になったきっかけの一つに「生活リズムの乱れ」(34.2%)があった。

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