トランプ大統領は会談が始まる前にもツイッター上で「スタッフと代表団による会談は迅速で順調に進んだ…。でも結局それは関係ない。我々全員が過去とは違い本当の取引が行われるかどうか、もうすぐわかるだろう」と期待値を高める呟きをするなど煽っていた。
一方で、金委員長はこの1カ月、中国の習近平国家主席、韓国の文在寅大統領と立て続けに会い、ロシアの外相とも会っている。この動きについて、金委員長が「将来、外国への亡命も視野に入れた下準備もあるのでは」とうがった見方も一部には出てきている。
春名氏はこう分析した。
「あるとしても、二歩も三歩も先の話です。なぜなら、金正恩は昨年まで核開発に邁進することで強国化し、体制を固めてきた。これからは経済路線に取り組み長期政権化を図るでしょう」
午後2時40分(現地時間)からは署名式に二人そろって登場し、署名を行った。トランプ大統領は「朝鮮半島との関係は全く違ったものになる」
「重要で包括的な文書。署名できて光栄だ」
と胸を張った。
一方、金委員長は
「過去を払拭し、新たな出発を知らせる歴史的な文書に署名する。世の中は重大な変化を見ることになる。努力してくれたトランプ大統領に感謝する」
とやや硬い表情で話した。
記者の一人がトランプ大統領に「ホワイトハウスに招待しますか?」と質問し、「そうだね」と答えてその場を離れた。(本誌・大塚淳史)
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