野崎氏の本名は樫山。野崎姓に変えたのは、2番目の妻と結婚した時だという。

「2番目の妻の勧めで姓名を変えたそうです。樫山といえば、服飾メーカーのオンワード樫山が思い浮かぶ。そこで野崎氏は貸金の屋号をオンワードにし、オンワード樫山と記したティッシュをオンワード樫山本社前で配ったらすごく客がついた。だが、すぐにオンワード樫山から訴えられて、敗訴。その後は金を貸すターゲットは公務員、上場会社の社員と決めていた。先に公正証書を作成して、返済が滞ったらすぐに、給料を差し押さえ。まあ、そういう知恵は働く人でした」(前出の知人)

 1997年の和歌山県内の高額納税ランキングで野崎氏は2位になり、納税額は2億円に上った。

 だが、同年に従業員の知人に襲われて、足をナイフで刺され、金を奪われる事件に遭遇。さらには国税のマルサに入られ、二重帳簿の脱税で摘発されたという。

「マルサにやられてからは世間体が悪いと、家業の酒販売、地元名産の梅干し販売もはじめた。まあ、貸金で儲かるから、酒販売と梅干しの会社は赤字でいいという考えでしたね」(同)

 野崎氏の経営する会社の古手の従業員はこう話す。

「若い女好きは病気というか、もう生活の一部って感じですね。昔から、好みの背の高い若い女が貸金の事務所の前を通ると、走って声をかけに行く。100万円やるから付き合ってくれとか簡単に言います。寝てくれた女性に『金はやるから、領収書を書いてくれ』と言い、アルバイト代として会社の経費で落としたりとハチャメチャです。東京から和歌山に飛行機代とお手当を出して連れてきた女とケンカし、飛行機代も渡さずに追い出したり、そんなことはよくありました」

 2年前に東京から来た女性に、貴金属やお金など計6千万円相当を持ち逃げされ警察沙汰になり、野崎氏は有名になった。

「あの時も『ここにあるもん持って帰ってええから』と言ったので、女性は持ち帰ったと話していた。付き合ってくれたどんな女性にも、すぐ言うんです。2番目の妻が家を出た時は大騒ぎで、何度も彼女の家に押しかけ、『帰ってきてくれ』『1億円渡す』とか言っていた。だが警察に通報され、ストーカー認定され、近づくことを禁じられたそうです。社長は女性には甘いが、女性が絡まないとドケチです。家の庭を造園業者に頼んで工事してもらった時、社長は勝手に店から安酒を大量に持って行き、これで代金を払うと置いて帰り、業者を怒らせたこともありました。いろんな人の恨みを買った人生だと思う」

 野崎氏を覚せい剤中毒で急死させた”真犯人”は一体、誰なのか。(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定

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