フルグラの共同研究に関するカルビーと順天堂大の記者会見。写真右が、松本晃会長兼CEO(撮影・中川透)
フルグラの共同研究に関するカルビーと順天堂大の記者会見。写真右が、松本晃会長兼CEO(撮影・中川透)
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「カルビーを辞めても、フルグラ(の朝食)はやめられない」

 6月20日に退任予定の松本晃・カルビー会長兼CEO(70)は、看板商品に育てたフルグラについてそう語る。約8年間毎朝食べ続けたといい、「こんなにおいしく健康によいものはない」とアピール。健康への効果について、順天堂大と共同研究を始める。

 松本会長と順天堂大の天野篤教授(心臓血管外科)が東京都内で記者会見を開き、発表した。順天堂大医学部とカルビーは、高血圧や心不全の患者にシリアル食品のフルグラを朝食に食べてもらい、どんな影響があるかを研究する。

 カルビーによると、フルグラは1食あたりの塩分が0.5グラム。一般的な朝食の塩分(和食5.8グラム、洋食3.7グラム)と比べ、3~5グラム程度の減塩を見込めるという。

 天野教授は「日本人は高血圧が多い。高血圧の管理には何と言っても生活習慣の改善が一番で、食事での塩分摂取を控えることが大切。日本人は塩分摂取量が大変多いが、フルグラの朝食だと抑えられる。私も食べてみて、幅広い世代に受け入れられる食品だと思い、共同研究を引き受けさせて頂いた」と述べた。

 順天堂大とカルビーは今後3年間かけて、フルグラによる減塩朝食の効果を調べる。病気を抱える人に対してだけでなく、大学職員の協力を得て、朝食を食べる習慣の有無が職場でのストレス対応力にどんな違いをもたらすかなども観察する。来春以降、研究結果を順次発表する予定だ。

 フルグラは若い女性らに人気で、2017年の売上高は254億円。カルビーは将来的に1千億円をめざす。健康への効果を明確にすることで、中高年層や海外に売り込みたい考えだ。

 松本会長は「年をとり子どもが巣立って夫婦2人になると、妻はあまり朝食をつくってくれなくなる。夫の方がたいてい早起きで、妻の起床までご飯を待てない。でも、フルグラだと全部自分で用意できる。10分で食べられる手軽な朝食で、お昼までおなかがすかない満足感もある。私はカルビーを辞めますが、(フルグラ朝食は)やっぱり、やめられない、止まらない、ですね」と話した。 (本誌・中川透)

※週刊朝日 オンライン限定記事