彼らは逃げる恐れもないだろうし、園も自宅もガサ入れが入り、隠せるようなこれ以上の証拠もなかったように思う。当初の薄汚い仲間に裏切られ見捨てられ、300日も不当に拘束されたこの夫婦の味方をしたくもなる。

 それに欲という毒素の抜けた籠池のオッサンは、案外、まっすぐな正しいことをいう。

 決裁文書の改ざんについて問われれば、

「ああいうものは、国民の財産でしょう。公文書というのは。そういうものを書き換えるというのが国民の、いわゆるサーバントであるところの国家公務員がすることではない。(中略)それは国民に対する背信です」

 いま安倍総理に伝えたいことは、

「しっかり本当のことを対応されることが一番よろしかろうと思います。(中略)正々堂々と伝達、報告するべきもんじゃなかろうかと思います」

 オッサンの話をもっと聞いてみたいかも。

週刊朝日  2018年6月15日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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